『呪術廻戦』における最大の脅威にして呪いの王と呼ばれる最強の存在、両面宿儺。最終決戦となる新宿決戦と最終話でついに物語から退場しますが、ただ倒されるだけではなく、人間くささすら感じる終わり方を迎えたのが印象的でした。この記事では、呪術廻戦の宿儺の最後のシーンの解説しつつ、そして伏黒恵との関係もあわせて紹介していきます。
圧倒的な実力と呪いの王の異名
両面宿儺は、1000年以上前の平安時代に実在した呪術師であり、当時の腕利きの術師たちが総出で挑んでも敵わなかったという伝説の存在です。その強大さから、死後も肉体が消滅することはなく、20本の指が特級呪物として現代まで残り、世に災厄をもたらし続けていました。物語の序盤で主人公の虎杖悠仁がその指を取り込んだことで、彼の肉体を依り代として現代に受肉しました。
宿儺は戦闘において、斬撃の術式「解(かい)」と「捌(はち)」、そして領域展開「伏魔御廚子(ふくまみづし)」を駆使します。天上天下唯我独尊を地で行くような尊大で傲慢な態度を取り、自身の愉悦のためなら他者がどうなろうと一切気に留めない、絶対的強者で圧倒的な存在でした。
宿儺の最後のシーンは?
両面宿儺の肉体的な消滅が描かれたのは漫画第268話「決着」です。新宿決戦では、五条悟との死闘のあとに、鹿紫雲・日車・乙骨・真希・東堂らが次々と参戦し、まさに総力戦といえる戦いでした。
決め手となったのは、虎杖と伏黒、そして釘崎野薔薇による連携でした。虎杖は魂に届く打撃と黒閃を重ねて宿儺を弱らせ、伏黒は呼び覚まされた意識で内側から抵抗し、宿儺と器の分離を試みます。そこへ釘崎の「共鳴り」が最後のひと押しとして加わったことで、宿儺は伏黒の体から完全に引きはがされ、見るも無残な呪いの肉塊のような姿へと成り果てました。
宿儺は最後の瞬間、虎杖から「オマエはオレだ」と共生を提案されますが、それを拒絶。依り代を失い、呪力を維持できなくなった宿儺は塵となって崩れ落ち、現世から完全に消滅しました。
なぜ共生を選ばなかったのか?
宿儺が共生を選ばなかった理由は、呪いの王としてのプライドと自分の負けを潔く認めたことの2点だと考えられています。
宿儺は1000年以上の間、圧倒的な力で他者を蹂躙し、己の快・不快のみを絶対の基準として生きてきました。彼にとって、他者からの哀れみや慈悲を受けることは、自らの生き様や存在意義そのものを否定される屈辱に等しいものでした。自分より弱く、かつて散々見下してきた虎杖からの救済を受け入れるくらいなら、呪いの王として誇り高く消滅することを選んだのでしょう。
また、宿儺は徹底した弱肉強食の価値観を持っています。だからこそ、総力戦の末に自分を追い詰めた虎杖たちの実力を結果として認め、敗北という事実をそのまま受け入れたとも言えます。見苦しく他者にすがって延命するのではなく、自分が負けたのだから消え去るのが当然という、彼なりの一貫した美学や潔さがあったと考えられます。
最終話で描かれた魂の通り道
最終話「これから」では、肉体を失った宿儺の魂のその後が描かれています。あの世とこの世の狭間のような魂の通り道で、宿儺はかつて虎杖を苦しめた特級呪霊・真人と再会します。真人は宿儺のことを丸くなったとからかいますが、敗北を受け入れている宿儺は静かに自分の過去を振り返り、次があれば生き方を変えてみるのもいいかもしれない。と口にします。それは、忌み子として生まれ、周囲からの蔑みを圧倒的な暴力で畏怖に変えてきた呪いの王が、死の淵で初めて別の生き方の可能性を受け入れた瞬間であるといえるでしょう。
その後、宿儺の魂の隣には彼に忠誠を誓い続けた裏梅が現れます。宿儺は反論することなく静かに真人から背を向け、裏梅と共に黄泉や輪廻転生の先と思われる光の方へと連れ立って歩き出しました。呪術廻戦で絶対的な悪として振る舞い続けた宿儺が、最後の最後で復讐心や憎悪という肩の荷を下ろし、どこか穏やかな顔を見せて一つの物語に幕を下ろすという、非常に美しく余韻の残るラストシーンとなっています。
宿儺は本当に完全に消滅した?
結論から言うと、宿儺は現世から完全に消滅したと言っていいと思います。あの世とこの世の狭間のような空間で、宿儺はかつて共に戦った裏梅の魂と連れ立ち、現世とは反対の光の方向へと歩き出しました。つまり、単に肉体が滅びただけでなく、魂そのものが現世に未練を残さず成仏したということです。
この結末により、呪いの王としての宿儺が復活する可能性は完全になくなり、事実上の完全消滅を遂げたといっていいかと思います。
宿儺と伏黒恵の関係は?
ここからは、宿儺と伏黒恵の関係に焦点を当てていきます。宿儺が伏黒を強く意識し始めたのは、かなり序盤の段階です。
2人が初めて対峙したのは、虎杖が宿儺に体を乗っ取られた状態での戦闘でした。この時、宿儺は伏黒の術式「十種影法術」に強い興味を示し、すぐに殺さずに伏黒の様子を観察するような行動を取っています。
両面宿儺は基本的に、弱者や興味のない相手には容赦がなく、わざわざ会話を続けることも少ない冷酷なキャラクターです。そんな宿儺が伏黒には妙に構ったり、挑発しながらも面白いと判断した様子を見せていることから、伏黒は初期から唯一の好奇の対象だったように思われます。
宿儺が伏黒に固執した理由
宿儺が伏黒に強く固執したのは、まず伏黒が持つ十種影法術のポテンシャルの高さが大きかったと考えられます。十種影法術は影を使って式神を操るだけでなく、応用の幅が広く、伸びしろの大きい術式として描かれており、強さを何より重視する宿儺にとっては非常に魅力的な力だったに違いありません。
それに加えて、宿儺は伏黒本人の性格や価値観にも興味を持っていたように見えます。伏黒は自己犠牲的な一面を持ちながらも、必要なら冷酷な判断もできる現実的な一面を持っています。宿儺は、虎杖とは異なるその危うさや闇の深さに興味を持ち、自分と通じるものや利用価値のある資質を見いだしていたのかもしれません。
まとめ
呪術廻戦の宿儺の最後のシーンは、新宿決戦での肉体の消滅だけでなく、その後の魂の通り道での含めて、とても味わい深いシーンでした。虎杖の「もう1度生き直してみないか」という提案を突っぱねた宿儺でしたが、最終的には「次があれば違う生き方もありかもしれない」と、ほんの少しだけ心境の変化を覗かせました。最後の最後で虎杖の言った、他者と生きるという選択肢がほんの少しだけ宿儺の心に届いていたことを意味する、宿儺の深い人間味を感じさせる最後だったと思います。


