漫画家・野田サトルさんの代表作である「ゴールデンカムイ」。主人公の杉元佐一とアシㇼパが囚人に彫られた刺青を手がかりに、金塊争奪戦を繰り広げるバトル漫画です。本作に登場する土方歳三は白髭をたくわえた老人の見た目ながら、脱獄囚を率いて血気盛んに最前線で戦い続けます。その圧倒的なカリスマ性と戦闘力の高さにより読者の間で無類の人気をほこっているキャラの1人です。そこで今回は「ゴールデンカムイ」土方歳三の最後と共に、若い頃の様子について解説します。
「ゴールデンカムイ」土方歳三の最後を解説
「ゴールデンカムイ」土方歳三の最後はコミックス最終巻31巻で描かれています。尚、2026年8月時点(現在)アニメ版「ゴールデンカムイ」では土方歳三の最後が放送されていません。原作を追いかけていない人にとってはネタバレが含まれているため閲覧に注意してください。それでは土方歳三がどのようにして人生の終焉を迎えたのか確認していきましょう。
列車内で鯉登少尉と一騎打ち
土方歳三の死地となったのは函館に向かう列車。この列車に杉元佐一および土方歳三の一味が乗り込み、居合わせた第七師団の兵士との戦闘が勃発しました。その際に土方歳三は鯉登少尉と一対一で勝負し、親子ほど年の離れた彼を圧倒。年齢による経験値の差が如実に現れていました。鯉登少尉は命がけで戦ったとしても勝てないと自覚しつつ古流剣術・自顕流を駆使して応戦したものの、跳ね上がった銃剣によって顔面を負傷。それでも高貴な身分であるからこそ果たすべき役割を痛感して覚醒し、反撃しました。
愛刀を譲渡して永眠
鯉登少尉が無我夢中で土方歳三に叩きこんだ唐竹割りは強力でした。鯉登少尉の軍刀は土方歳三の愛刀である兼定と激しくぶつかった影響で破損。それでも鯉登少尉が諦めずに攻撃を続け、刃が土方歳三の頭部にめり込んでいきました。ところが土方歳三は顔面を真っ二つに割られながらも死んでいませんでした。新撰組の鬼の副長と恐れられた頃の姿になり、他人のために命がけで戦う杉元佐一の姿に武士道を見出して愛刀である兼定を譲渡しました。そして新撰組時代からの盟友である永倉新八の腕の中で永眠したのでした。
土方歳三が鯉登少尉に負けた理由
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(出典:週刊ヤングジャンプ公式サイト)
かつて鯉登少尉は上官である鶴見中尉を無条件で信じ、長年にわたって彼の操り人形でした。けれども目的のためならば手段を選ばず、ことごとく周囲を利用してきた鶴見中尉の本性に気づき、先述の列車に乗る前に彼を信奉する気持ちが消えていました。土方歳三は過去と決別したばかりの鯉登少尉の動揺ぶりを彼の未熟さや覚悟の欠如と捉え、自身の勝利を確信していたのではないでしょうか。その慢心から格下の鯉登少尉が覚醒のすえに放った攻撃を防ぎきれず、命を落としたのではないかと考えられます。
土方歳三の遺体の行方は?
永倉新八と、任侠集団の若衆・夏太郎が土方歳三を看取り、彼の遺体を回収。その後2人はあっさり戦線から離脱し、平穏な余生を過ごしました。ただ土方歳三の遺体がどのような方法で埋葬されたのか詳細は不明です。史実と同じく遺体の埋葬場所も明らかにされていません。とはいえ2人とも土方歳三と一緒に過ごした日々を何ものにも代えがたい誇りと感じて周囲に語っているため、彼のゆかりの地に丁重に埋葬したのではないでしょうか。
土方歳三の死後に動き出した物語
土方歳三の死は決して無駄ではありませんでした。列車内での死闘の後、元蝦夷共和国総裁・榎本武揚が土方歳三との約束を果たすために動き始めます。ここからは土方歳三の真の目的と、彼の死後に動き出した物語を解説します。
蝦夷共和国の独立構想
土方歳三は過去にアイヌ民族に命を救われたため恩返ししなければならないと考えていました。そこで榎本武揚に協力して蝦夷共和国の独立を目指していたものの箱館戦争を機に投獄されることに。その後、榎本武揚は政治家としての才能が認められ明治政府の官僚として働く一方、土地の権利書を北海道・五稜郭に隠し続けていたのです。さらに銀行に厳重に保管されていた兼定が盗まれた事件を機に土方歳三の存命を知り、虎視眈々と蝦夷共和国の独立構想実現に向けて法整備を進めていました。
土方歳三の夢をアシㇼパが受け継ぎ実現
土方歳三が永眠した数カ月後、榎本武揚は杉元佐一とアシㇼパに面会。慣習にとらわれず新時代のアイヌの女として生きるアシㇼパの姿に共感し、彼女に土地の権利書をゆだねるべきであると判断しました。そして権利書の扱い方をアシㇼパに指南すると共に、アイヌ民族の村々が明治政府に吸収されないように国際法に基づいて根回ししたのでした。結果、アシㇼパは権利書に記された土地を管理し、土方歳三らが望んだ通りアイヌ民族の文化と尊厳を守り抜きました。
土方歳三の若い頃はイケメンだった?
「ゴールデンカムイ」に高齢の囚人として登場する土方歳三ですが、新撰組の副長を務めていた若かりし頃はイケメンでした。ここからは土方歳三の若い頃の様子についてチェックしていきましょう。
若い頃は杉元佐一と瓜二つ?
若い頃の土方歳三は、漆黒の長髪と鋭い眼光が印象的で、ゆるぎない信念を前面に押し出していました。その見た目や雰囲気は杉元佐一と酷似しており、作者の野田サトルさんがあえて2人のキャラの類似性を強調するように描いたそうです。どれだけ窮地に陥っても生きることに執着する貪欲さ、仲間のために危険をかえりみず行動する勇気と覚悟、これらの杉元佐一の特性を若い頃の土方歳三も兼ね備えていました。そこに眉目秀麗な容姿が組み合わさり、物語に深みを生み出しています。
気迫に満ちあふれる戦士
歴史上に実在した土方歳三は京都の舞妓や芸妓から多くの恋文をもらいながらも、うつつを抜かさずに淡々と仕事をこなす冷徹な人物でした。史実と同様に「ゴールデンカムイ」の土方歳三も若い頃は新撰組の副長として裏切り者の処罰を躊躇なく実行すると共に、倒幕派の殲滅に尽力していました。その一方で新撰組の仲間と交流する時には無邪気な表情をみせており、気迫に満ちあふれる凛々しい姿とのギャップが多くのファンを魅了しています。
まとめ
箱館戦争で多くの仲間を失いながら生き延びた後、死に場所を探すようにがむしゃらに戦ってきた土方歳三。列車内での鯉登少尉との激しい戦闘のすえに人生の終焉を迎えました。その表情は怒りも憎しみもなく、生きる呪縛から解放されて穏やかでした。先に逝った仲間たちと合流して榎本武揚やアシㇼパの動向を見守り、大団円に安堵しているのではないでしょうか。


